元気な痴呆・問題行動例の補正
この事例集で、二次判定変更可能として取り上げられた痴呆症例は多くありますが、介護度を変更するには特に決まった変更の理由はないようです。主に「介護に手間がかかると予測できる」とか「状態像に照らし合わせて」とかの理由は書いてありますが、元々元気な痴呆や問題行動例の状態像はなく、無理矢理に状態像にこじつけているようですし、介護の手間もどれくらいかかるのかは不明で審査会の雰囲気で介護度が決まってしまうような幹事がします。
そこで事例集の40事例で、「元気な痴呆・問題行動のある事例」すなわち「障害度 N・J・Aランクでかつ第7群の問題行動に異常項目がチェックされた事例」を、我々の作成した玖珂郡医師会補正基準で判定してみました。
該当する事例は17例でした。
下に該当事例の一覧を示します。
この表の第6群とは6-5の意志疎通の項目の異常ありの項目数を、また第7群の数字は一次判定の中間評価項目の得点を示します。この数字が低いことは第7群の問題が大きいことを表しますが、数値と一次判定はほとんど関係はありません。
青の基準時間とは一次判定の要介護認定等基準時間で、これにより一次判定がでています。
黄色の列の一次判定結果は「要支援」3例、「要介護1」5例、「要介護2」5例、「要介護3」4例となっています。
そこで、我々の補正基準で第6群・第7群の補正を行いますと「補正値」として示したように、意志疎通の有無と問題行動の介護への係り具合で点数がしめされ、手間のかかる問題行動が多いほど・意志疎通が難しいほど介護の数字(補正値)は大きくなります。これ(補正値)と基準時間を足したものが補正基準の元となる「補正時間」となり、各事例で判定はかなり異なっています。
事例集には、はっきりした認定の変更基準はなく、状態像やその場の雰囲気で介護度が変更されていますが、我々の基準では問題行動がひどいほど、また意志疎通が困難であればあるほど、介護時間は増えており、要介護度の判定も、その時間によって事例毎に変化しています。
「どれが正しいのか」は結論は出ないと思いますが、研修会でしめされた「事例21」で「要介護2」から「要介護3」への1ランクアップでは、介護の実状を現していないと考えます。
事例集での介護度上昇と我々の基準での介護度上昇が一致したのは緑の背景の5例、補正基準では事例集よりも1ランクアップした例は薄青の背景の7例、これは比較的介護度が重い事例です。事例集より2ランク大きくアップした例は3例でした。
なお、補正後に介護時間が増えなかった「事例33」については事例集の様にランクアップできず一次判定のままとなりましが、調査での問題行動のチェックが常時の徘徊だけであり、実態・特記事項と大きな差がある可能性があり、痴呆度などと比べても問題行動の取り上げ方が少なすぎるのではないかと思われます。
以上、事例集の結果と我々の補正結果を比較してみました。
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