「最高のラッキーセット」
一次判定ソフトの「でたらめぶり」は少し分かっていただけたでしょうか。
今回は少し遊んでいて、4項目で「要介護2」の「最高のラッキーセット」を見つけました。
と言ってもすでに分かっている方たちも多いのですが、私は始めて実感できましたのでご紹介します。
4項目で「要介護2」です。
第2群だけでの組み合わせです。
2.起きあがり:つかまれば可
4.両足をつかない座位:自分で支えれば可
6.歩行:つかまれば可
7.移乗:見守り
の4項目で認定基準時間52分で一次判定は「要介護2」です。
と言っても4項目は必要なく、この組み合わせの場合には7.移乗の見守りで42分となり、それに4.両足をつかない座位:自分で支えれば可を加えれば52分となり、たった2項目で「要介護2」の基準時間になります。あとは2群のどれかの項目を2個加えれるか、麻痺・拘縮でも2項目チェックすれば良いのです。
注意は7.移乗は見守りが必要で一部介助では54分と2分増えますが、全介助にすれば49分となり、「要介護1」に逆転してしまいます。
4.両足をつかない座位は自分で支えれば可での結果で、これ以上支えが必要や出来ないとすれば、これまた42分に下がってしまい「要介護1」に逆転してしまいます。
第2群の組み合わせの「ラッキーセット」で多くの逆転を起こしていた2-5両足での立位は、この組み合わせでは逆転は起こしませんでした。
どうして逆転したり、何も変化無かったりするのか説明は難しいのですが、あの樹形図によって変化するのでしょうから、予測は出来ません。
「運が良ければ」こんな最高ラッキーセットに当てはまることもあるのです。
このセットに問題行動を入力してみました。1項目追加すれば46分となり「要介護1」にさがり、その後は問題行動を7つまで増やせば56分となり「要介護2」に戻りました。
この移乗を見守りを使った組み合わせは他にもありそうです。
例えばこんな見守りばかりの移乗を使った組み合わせです。
2-7.移乗:見守り
5-2.上着の着脱:見守り
5-3.ズボンの着脱:見守り
5-4.靴下着脱:見守り
の4項目で認定基準時間59分で一次判定は「要介護2」です。
但し上着の着脱見守りをやめて、ボタンの掛けはずしを見守りにすれば49分で「要介護1」です。
その他にも第4群だけで4項目で「要介護2」を探してみたら見つかりました。
4-3嚥下:見守り
4-4尿意:ときどきあり
4-5排尿後の後始末:間接的介助
4-7食事摂取:一部介助
認定基準時間52分で一次判定は「要介護2」です。
この組み合わせの分析は4-7食事摂取の一部介助で42分、4-5排尿後の後始末を間接的介助で45分となり、もう一つは4-3嚥下の見守りか4-4尿意:ときどきありのどちらでも52分で「要介護2」となります。
この組み合わせでは排尿後の後始末が重要で、排便後の後始末では42分のままです。
訳が分かりません。
食事摂取は見守りでは39分で「要介護1」です。
このセットに問題行動を入力してみましたが、これはほとんど変わりませんでした。
このように調べれば、4項目のチェックで「要介護2」も有ることが分かりました。
そしてこれを良く分析すれば4項目のうち1-2項目をチェックするだけで、説明できない介護時間が得られることがあり、50分を超えて「要介護2」となるのです。
前述した「ラッキーセット」や今回のセットなどは、実際の状態像とはかけ離れた「一次ソフトの運の良かったグループ」です。
こんな組み合わせが、実際の認定審査会で頻回に見られるため(と言っても調査員も審査員も理解していない場合が多いのですが)、厚生省の予想以上の重度の介護度となっている原因だと思います。
厚生省はまだ全国集計を発表しませんが、本日朝日新聞が集計した予測値を発表しました。
そうでしょうか?。
要介護認定が当初の予想より重度に偏っている原因には調査員の影響もないとは言いませんし、私も認定制度の継続のためには調査員は「ひも付きではいけない」と以前から訴えていますが、重度に偏る原因は調査員が調査項目を操作する事ではなく、何度も言っていますが一次判定ソフトの欠陥で、土肥先生が述べられているように「介護度が良くなり過ぎる人4割」「介護度が逆転し悪くなる人3割」の7割が不公平な判定となるソフトですから、認定審査会でまず一次判定ソフトをあきらめる事の方が重要ではないかと思います。
あと1ヶ月を切った時期にこんな訴えを続けねばならないことに、あきらめの境地を感じています。
平成12年3月2日