あまりどぎつい厚生省への批判は控えておくつもりでしたが、担当者はまだ一次判定ソフトに拘っておられるようですし、「このソフトは悪くない」「悪いのは調査員や審査員だ」とでも言うような報道が見られます。
ラッキーセットなどを小出しにすることで、逆転現象や一次判定の欠陥・矛盾を訴えていましたが、今回は少し派手に「究極の不公平」としてご紹介します。
全ての調査項目を掲載し、調査員の調査項目も全て紹介しています。
さて、皆さんの審査会ではこの症例でどんな二次判定が出ますでしょうか。
この症例は DRハッシーさんの例 をホームページより参考にさせていただきました。
「どうしてさん」と「厚生省さんありがとうさん」と言うことにします。
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調査項目 |
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第1群 |
1.麻痺左-上肢 |
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(麻痺拘縮) |
右-上肢 |
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左-下肢 |
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右-下肢 |
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第2群 |
1.寝返り |
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(移動) |
2.起き上がり |
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3.両足での座位 |
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4.両足つかない座位 |
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5.両足での立位 |
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6.歩行 |
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7.移乗 |
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第3群 |
1.立ち上がり |
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(複雑動作) |
2.片足での立位 |
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3.浴槽の出入り |
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4.洗身 |
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第4群 |
3.嚥下 |
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(特別介護) |
4.ア.尿意 |
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イ.便意 |
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5.排尿後の後始末 |
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6.排便後の後始末 |
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7.食事摂取 |
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第5群 |
1.ア.口腔清浄 |
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(身の回り) |
イ.洗顔 |
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ウ.整髪 |
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エ.つめ切り |
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2.ア.ボタンかけ |
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イ.上衣の着脱 |
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ウ.ズボンの着脱 |
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エ.靴下の着脱 |
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3.居室の掃除 |
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4.薬の内服 |
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5.金銭の管理 |
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第6群 |
1.視力 |
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(意志疎通) |
2.聴力 |
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3.意思の伝達 |
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4.指示への反応 |
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5.ア.毎日の日課理解 |
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イ.生年月日をいう |
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ウ.短期記憶 |
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エ.自分の名前をいう |
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オ.今の季節を理解 |
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カ.場所の理解 |
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第7群 |
オ.昼夜逆転 |
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(問題行動) |
カ.暴言暴行 |
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ケ.介護に抵抗 |
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シ.外出して戻れない |
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ソ.火の不始末 |
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結果はこんな一次判定です。
驚かれましたか。
この2人の調査項目からは、あきらかに状態像は「どうしてさん」の方が悪く、痴呆も進んで問題行動も多いことが分かります。しかし、「どうしてさん」では調査項目をいくら増やしても、基準介護時間は全く増えず、むしろ上の項目から順に入力していると一時「要介護2」までなって、それからいろんな逆転項目にひっかかり最終的にはこんなに状態が悪くても一次判定は「要支援」となってしまったのです。途中で入力を止めれば「要介護2」だったのに、と思いますが一般には最終判定しかわかりません。でもどう言い訳するにしろこんな状態で「要支援」になるソフトはまともなソフトでない事は明かです。
一方「厚生省さんありがとうさん」ではラッキーの組み合わせと、運良く逆転現象の調査項目を免れ、誰が見てもびっくりする「要介護5」なのです。厚生省の発表している要介護度別の状態像では「要支援か要介護1」に一番近い症例なのです。
いろんな樹形図の枝から枝へ華麗に飛び移り、落下せずに頂点を極めた最高の「超ラッキー」な方なのです。勿論この例でもどこかこれ以外の項目を入力したり、一部介助や全介助の内容を変えれば途端に「要介護3」程度になりますので、最高の組み合わせと言うことが出来ます。これも逆な意味でこんな例を「要介護5」と判定するソフトがおかしいのです。
この差を調査員の資質や恣意的な結果と言うのでしょうか。もし調査員がこのソフトを理解して、「どうしてさん」を調査した時わざと第6群・7群の痴呆関係の項目を「ある」のに「ない」としてチェックから外したり、逆転しない項目を選んで申請者の実状に合う介護度に基本調査表を調整したり、「厚生省さんありがとうさん」と同じチェックで「要介護5」を作ったとしたら、その調査員はすばらしい能力を持った調査員と言えますが、そんなことを1例1例すること自体不可能に近いと思いますし時間もありません。特に第6群・7群の痴呆関係の項目を「ある」のに「ない」としてチェックすることは心情的に出来ないと思います。しかしこれが申請者には非情な結果となるのですからどうして良いのか分からなくなります。
こんな症例は「審査会での二次判定で調整すればいい」と厚生省は言います。しかしこれを理解している審査会がどれだけあるでしょうか。そして、まず一次判定を参考とする二次判定では、「どうしてさん」の例ではどの程度ランクアップさせるのかに基準はありません。また「厚生省さんありがとうさん」を要介護度が重すぎるのでランクを下げる場合も状態像での「要介護1」まで4ランクも下げることは、出来ないと思いますし、これも基準はありません。
それ以上に全国一律の判定基準が無いのですから、各地の審査会や合議体でバラバラの二次判定になることは目に見えています。
今回は極端な違いで示しましたが、こんな違いは多少に関わらず殆どの例で見られている「バグソフト」ですから、本当は認定審査会で、一次判定を知って二次判定することは、先入観がはいるため二次判定に影響しますので、参考にしてはいけないのです。
一度、審査会が暇になったら、こんな症例を持ち寄り全国の審査会での二次判定結果を比べてみると面白いかも知れませんね。
全国で不満の声があがり始めています。
このままの一次判定を続けることは、日本の介護保険制度の「恥」と言われますね。
平成12年3月4日
究極の不公平例で「要介護5」と「要支援」の例をお示ししましたが、探してみれば幾らでも出てきます。
先日、土肥先生が示された逆転例を、少し修正して並べてみました。
寝たきりでなくても要介護5がありますし、この例も「状態が軽くなるのに要介護度が重くなる」逆転現象が経験できます。。
要介護5の状態から、2項目重くして要介護4になります。
要介護4の状態から、2項目重くして要介護3になります。
要介護3の状態から、14項目重くして要介護2になります。
左側列が一次判定の要介護が重度で右側列に行くほど、調査項目はチェックが増え介護の状態はひどくなって
いるはずです。しかし一次判定結果はどんどん逆転しています。
つまり、
要介護5の状態から16項目重くなって3ランク下がって要介護2になるのです。
こんな「要支援」程度の状態で「要介護5」となることも信じられませんが、こんな逆転はもっと信じられません。
一次判定ソフトは「要介護度判定ソフトとして機能はしていません」
こんなソフトはもう使うのは止めようではありませんか。
(麻痺拘縮) |
1.麻痺 左-上肢 |
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右-上肢 |
あり |
あり |
あり |
あり |
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左-下肢 |
|||||
右-下肢 |
あり |
あり |
あり |
あり |
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その他 |
|||||
2.拘縮 肩関節 |
あり |
あり |
あり |
あり |
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肘関節 |
あり |
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股関節 |
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膝関節 |
あり |
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足関節 |
|||||
その他 |
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(移動) |
1.寝返り |
||||
2.起き上がり |
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3.両足での座位 |
|||||
4.両足つかない座位 |
|||||
5.両足での立位 |
|||||
6.歩行 |
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7.移乗 |
一部介助 |
一部介助 |
一部介助 |
一部介助 |
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(複雑動作) |
1.立ち上がり |
||||
2.片足での立位 |
できない |
できない |
できない |
できない |
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3.浴槽の出入り |
全介助 |
全介助 |
全介助 |
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4.洗身 |
一部介助 |
全介助 |
全介助 |
全介助 |
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(特別介護) |
1.ア.じょくそう |
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イ.皮膚疾患 |
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2.片手胸元持ち上げ |
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3.嚥下 |
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4.ア.尿意 |
|||||
イ.便意 |
|||||
5.排尿後の後始末 |
間接的援助 |
間接的援助 |
直接的援助 |
直接的援助 |
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6.排便後の後始末 |
間接的援助 |
間接的援助 |
直接的援助 |
直接的援助 |
|
7.食事摂取 |
|||||
(身の回り) |
1.ア.口腔清浄 |
||||
イ.洗顔 |
|||||
ウ.整髪 |
一部介助 |
一部介助 |
一部介助 |
一部介助 |
|
エ.つめ切り |
一部介助 |
||||
2.ア.ボタンかけ |
見守り |
||||
イ.上衣の着脱 |
|||||
ウ.ズボンの着脱 |
|||||
エ.靴下の着脱 |
全介助 |
全介助 |
全介助 |
全介助 |
|
3.居室の掃除 |
|||||
4.薬の内服 |
全介助 |
全介助 |
全介助 |
全介助 |
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5.金銭の管理 |
|||||
6.ひどい物忘れ |
|||||
7.周囲への無関心 |
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(意志疎通) |
1.視力 |
ほとんど見えない |
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2.聴力 |
ほとんど聞こえない |
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3.意思の伝達 |
できない |
||||
4.指示への反応 |
できない |
||||
5.ア.毎日の日課理解 |
できない |
||||
イ.生年月日をいう |
できない |
||||
ウ.短期記憶 |
できない |
||||
エ.自分の名前をいう |
できない |
||||
オ.今の季節を理解 |
できない |
||||
カ.場所の理解 |
できない |
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110分 |
90分 |
77分 |
68分 |
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要介護5 |
要介護4 |
要介護3 |
要介護2 |